震央を静岡県西部とする地震 中央構造線と南海トラフ
震央を静岡県西部とする地震【スロースリップと中央構造線と南海トラフ】
3.11東北地方太平洋沖地震の余波が日本最大の大断層・中央構造線までキタ!
−2015年8月29日から始まる静岡県西部を震央する最大マグニチュード3クラスの地震が意味するものを探る−
今回の地震の頻度の確認と、気象庁の見解を紹介して、スロースリップイベントを紹介しつつ今回の地震を考察してみたいと思う。
1.内陸型スロースリップイベントの研究
従来は豊後水道をはじめとする海洋域でのスロースリップ研究が主であったが、今回の静岡県西部という内陸域での発生である可能性が高い。観測機器の増加によりちょっとしたブームでもあるスロースリップ研究が観測が容易な内陸な震源域で進むことが予想される。(雑振動が多いという弊害もあるが)(※1)
※1 『3つの異なる「スロー地震」の連動現象の発見』 最新成果事例集2014 防災科学技術研究所 http://www.bosai.go.jp/introduction/pdf/results200.pdf
2.3.11余効変動が中央構造線地震や南海トラフ地震へ与える影響
3.11東北地方太平洋沖地震の余効変動は中央構造線に沿って西方向へ伝わっていくと思われる。今回この余効変動がフォッサマグナ域から静岡県西部まで到達するのに4年間も要したことから、これ以上西域へは余効変動は伝わらないのではないか。
または今後この余効変動はが南海トラフ地震本体へ伝わっていった場合に、最大マグニチュード6程度の中央構造線沿いの地震や、今後30年に70%の可能性で最大マグニチュード8クラスの地震が発生するとされている南海トラフ地震へあたえる影響を解明する1つの研究材料になると思われる。
3.気象庁の見解(2015年8月31日)※2
・浜名湖付近のプレート境界で「長期的ゆっくりすべり」が発生している可能性
・長野県南部の想定震源域より深いプレート境界において発生した「短期的ゆっくりすべり」に起因
・「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」による余効変動
※2 『 東海地震に関連する調査情報』平成27年8月31日気象庁発表 http://www.jma.go.jp/jp/quake/20150831170259387-010000.html
4.最近の静岡県西部を震央とする地震の頻度
2015年04月29日以降で有感地震が8回も発生しています。この様な頻発は3.11以降初めてです。1983年03月16日の時はどうだったのでしょうか。調べてみたいものです。福島県浜通りを震央とする頻発地震は研究されているのでしょうか?(もしかすると今後、日本各地でこのような地震が発生するかも知れません)
静岡県西部(北緯34.6度、東経138.2度)を震央とする地震の頻度(2015年9月01日まで)
2015年09月01日 00時29分頃 M4.2
2015年08月31日 20時35分頃 M3.1
2015年08月31日 20時06分頃 M2.9
2015年08月31日 20時03分頃 M3.0
2015年08月31日 16時45分頃 M2.8
2015年08月29日 23時24分頃 M2.7
2015年08月29日 22時20分頃 M2.7
2015年08月29日 22時05分頃 M3.5
2015年04月29日 23時11分頃 M3.0
2015年02月03日 12時38分頃 M3.4
2015年01月08日 12時01分頃 M4.2
2014年10月03日 23時07分頃 M3.2
2014年09月25日 21時53分頃 M2.9
2014年04月19日 15時43分頃 M2.6
2014年03月18日 21時24分頃 M3.3
2014年02月27日 15時14分頃 M2.8
2013年04月25日 01時04分頃 M3.1
2013年04月11日 17時54分頃 M2.8
2013年02月13日 13時45分頃 M2.9
2012年11月24日 11時48分頃 M3.6
2012年11月21日 08時19分頃 M3.1
2012年11月21日 05時03分頃 M2.6
2012年11月21日 00時52分頃 M2.7
2012年10月16日 17時48分頃 M3.5
2012年10月01日 17時39分頃 M2.9
2012年09月14日 17時43分頃 M2.7
2012年09月13日 14時03分頃 M2.5
2012年09月13日 06時35分頃 M3.0
2012年09月09日 03時38分頃 M3.5
2012年07月29日 14時23分頃 M3.0
2012年02月17日 06時00分頃 M3.8
2012年02月15日 21時02分頃 M2.6
2012年02月08日 01時00分頃 M2.8
2012年01月17日 07時06分頃 M3.1
2012年01月10日 11時34分頃 M2.9
2011年12月26日 22時53分頃 M2.5
2011年12月22日 07時29分頃 M2.6
2011年03月29日 23時46分頃 M2.7
2011年03月23日 03時03分頃 M3.2
2011年03月23日 01時58分頃 M2.2
2011年03月20日 05時24分頃 M1.7
2011年03月20日 02時19分頃 M1.5
2010年11月02日 04時01分頃 M3.6
2010年10月12日 22時40分頃 M3.9
2010年06月09日 12時53分頃 M2.5
2010年04月22日 09時40分頃 M3.3
2010年03月30日 04時45分頃 M3.2
2009年12月10日 06時00分頃 M3.3
2009年12月10日 05時55分頃 M3.8
2009年12月10日 00時35分頃 M3.1
2009年10月10日 04時14分頃 M3.5
2009年05月25日 20時26分頃 M4.6
2009年05月10日 08時38分頃 M2.3
2008年12月29日 21時32分頃 M2.5
2008年12月29日 18時37分頃 M2.6
2008年10月21日 09時20分頃 M3.1
2008年08月25日 16時15分頃 M3.2
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1983年03月16日 02時27分頃 M5.9
5.中部電力 浜岡原発 5号機
”中央構造線+スロースリップ+南海トラフ+低速度層”こんな所にも原発が!
『浜岡原発では2009年8月の駿河湾の地震(最大震度6弱)で、5号機が他号機より大きな揺れを観測した。中電は5号機の地下に「低速度層」と呼ばれる層があり、駿河湾側からの地震波を増幅させる特性があると結論付けた。今回の地震について、中電の担当者は「09年の時と同じ方向からの地震波で、加速度の値は小さいが、低速度層の一定の影響を受けているとみられる」としている』(「浜岡原発5号機の揺れ増幅 静岡県西部震源の地震」2015.09.01 静岡新聞)
国土の狭い日本ですから、様々な環境の場所に原発が設置されています。同一の耐震強度では無く、それぞれ異なった十分な対策を行うことが重要です。特にこの浜岡原発 5号機は”中央構造線+スロースリップ+南海トラフ+低速度層”といった4重の問題を抱えており、それぞれに対応した対策を講じる必要がありそうです。